自筆証書遺言書保管制度をやさしく解説|はじめての人でも安心してわかる相続のポイント

遺言について
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自筆証書遺言書保管制度とは、書いた遺言書を法務局が安全に保管してくれる仕組みです。高齢化に伴い相続トラブルが増え、自宅での保管では紛失・破棄・改ざんなどの問題が多かったことから導入されました。これにより、遺言書を安心して残すことができ、相続開始後の手続きもスムーズになります。


自筆証書遺言書保管制度とは?

自宅保管と法務局保管の違い

▼ 自宅で保管
・紛失しやすい
・家族が捨てる可能性
・書き換えのリスク
・相続開始後に検認が必要(時間がかかる)

▼ 法務局で保管
・安全な金庫で長期保管
・紛失・改ざんの心配ほぼゼロ
・相続後すぐ手続き可能(検認不要)
・通知制度で「遺言書が見つからない」問題を防止

この制度では、遺言者が手書きした遺言書を法務局が厳重に保管します。従来の自宅保管より安全性が高く、相続時の手続きも軽減されます。

また、この制度を利用した遺言書は家庭裁判所での検認が不要のため、相続手続きが迅速に進むという大きな利点があります。


制度を利用するメリット

従来の自宅保管では、遺言書の紛失や改ざんの問題が多く、安全性に不安がありました。この制度には次のようなメリットがあります。

  • 遺言書の紛失・破棄・隠匿などのリスクが大幅に減る

  • 家庭裁判所の検認が不要で、相続手続きが早い

  • 手数料3,900円と手頃で利用しやすい

  • 法務局による形式チェックでミスを防げる

費用を抑えつつ確実に遺言を残したい人向けの制度です。


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どの法務局で利用できる?

遺言書を保管できる法務局は次のとおりです。

  • 遺言者の住所地を管轄する法務局

  • 遺言者の本籍地を管轄する法務局

  • 遺言者が所有する不動産所在地を管轄する法務局

本籍地管轄は変わりにくいため、長期保管を考える人に向いています。対象法務局は法務省公式サイトの「遺言書保管所検索ページ」で確認できます。


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必要書類と利用手続き

💡 ポイント! 遺言書保管の手続きは必ず遺言者本人が法務局へ行う必要があります。

必要書類は次のとおりです。

  • 手書きの自筆証書遺言(A4・余白あり)

  • 遺言書保管申請書

  • 本人確認書類(免許証・マイナンバーカード等)

  • 住民票の写しなど

  • 手数料3,900円分の収入印紙

【重要:遺言書の4つの必須要件】

  • 全文自書(自分の手で書く)

  • 日付を書く(具体的な年月日を記載)

  • 氏名を書く

  • 押印する

財産目録のみパソコン作成が可能ですが、すべてのページに署名・押印が必要です。


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相続開始後にどう役立つ?

  • 家庭裁判所の検認が不要 → 手続きが早く進む

  • 死亡時通知の利用で遺言書が確実に見つかる

  • 誰かが閲覧請求すると、他の相続人にも自動通知される → 隠蔽の防止

遺言者の意思を確実に伝え、相続人間のトラブルを防ぐ仕組みが整っています。


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制度利用の注意点

📌 注意点まとめ

  • 法務局は内容の正しさ(遺留分など)までは確認しない

  • あいまいな記載は後のトラブル原因に

  • 修正時は「新しい遺言書」を作成し再度保管手続きが必要

  • 保管中の原本は返却されない

制度は形式面の安全性を高めるものですが、内容の法的妥当性については専門家による確認が必要です。


身近な例で理解する遺言書保管制度

例:あなたが大切にしているゲーム機やマンガを「誰に渡したいか」決めておきたい場合

▼ 何も書かないと…
家族や友人同士で「本当は誰のもの?」とケンカになるかもしれません。

▼ 紙に書いて机にしまうだけだと…
・紛失
・捨てられる
・書き換えられる
といった問題が起こりやすいです。

▼ 法務局に預けると…
・安全に保管される
・勝手に書き換えられない
・「本人が本当に書いたもの」と証明できる

大切なものを「確実に相手に届ける」ための仕組みとして理解できます。


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まとめ

自筆証書遺言書保管制度は、遺言書の紛失・改ざんリスクを防ぎ、相続手続きをスムーズに進めるための便利な制度です。費用も手頃で、はじめて遺言を作る人にも利用しやすく、特に次のような人に向いています。

  • 費用を抑えて遺言を確実に残したい人

  • 家族間のトラブルを未然に防ぎたい人

  • 自宅保管に不安がある人

ただし、内容の法的チェックは制度ではできないため、専門家の助言を受けることが大切です。


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よくある質問(Q&A)

Q1. 公正証書遺言とどちらが良い?

公正証書遺言は法律面の安心感が高く、自筆証書遺言書保管制度は費用が安く手軽です。どちらが適しているかはケースによって異なります。

Q2. 内容は秘密にできる?

はい。相続開始までは遺言者本人以外は閲覧できません。

Q3. 書き方を間違えると?

形式不備があると無効になる可能性があります。不安な場合は専門家にチェックしてもらいましょう。

Q4. いつでも撤回できる?

はい、本人であれば撤回できます。ただし保管中の原本は返却されないため、新しい遺言を作成する必要があります。


最後に:制度を上手に使うコツ

  • 専門家に内容を確認してもらう(遺留分・法律的表現の確認)

  • 財産目録を正確に作る

  • 家族と話し合い、遺言の存在を共有する

  • 生活状況が変わったら見直す

遺言書は将来の安心をつくる大切な準備です。制度を理解し、自分の想いを確実に届けられるよう整えておきましょう。

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